安全第一・SAFETY-FIRSTを刻む



平田 耕一

一般社団法人 資源プラ協会 陪席参与 エコシスLOBBYひらた事務所 株式会社テクノファ技術顧問/講師 (元職:エコシス・コンサルティング株式会社代表取締役) 環境プランナーERO SDGsインテグレータ(GRI) 防災士



”安全第一”…。緑十字とともに製造工場や建設現場で掲げれらる-それは見慣れた存在である。弊職はこの“SAFETY-FIRST”をビジネス・パーソンになりたての時期にとことん、それこそDNAに刷り込むがごとく叩き込まれた。その会社は世界を代表する総合化学会社で、ベトナム戦争時に“エージェント・オレンジ“という強力な枯葉剤を米軍に提供した技術力抜群かつ戦後賠償という脛(スネ)に傷持つ会社だ。

刷り込まれたそれは、「安全はすべてに優先する!それが莫大な利益を得るものであってもひるまない。その製品・サービスが、社会・環境・ステークホルダーに不具合や不利益をもたらすものであるなら、便益と損失のバランスをいたずらにいじりまわして、自己肯定を積み重ねて合理性を求めることなく撤退し、直ちにリスクをマネジメントにてコントロールする。」だ。

安全第一のスローガンは、USスチールが20世紀初頭に、労働災害の悪化は、やがて品質や生産性に影響を及ぼす。なので当時主流の“生産第一・品質第二・安全第三“のプロトコルを真逆にしたことが起源とされている。弊職に刷り込まれたDNAには、そういう漠然とした掛け声に留まることなく、“エージェント・オレンジ“で米軍と共に戦後賠償を粛々と続ける総合化学会社のコミットメント(プロミスよりも数倍の責任で対価を差し出す約束)が宿っている。皆さんは“安全第一のコミットメント”をどう標榜され、そしてどのように実践させているのであろうか

無責任な問い掛けで終えてしまったが、紙幅も限られているので、詳しいお話は座談会にでもとっておいてプラスチックの社会性についてお話をしたい。

--閑話休題--

いやもう大変…!「2050年には海洋ごみが魚の量を上回ってしまうぞ!そのほとんどは廃プラスチックだ!」、「レジ袋や包装材、それにプラ製の簡易カトラリー(ナイフやフォーク・スプーンなど)や食器は諸悪の根源。まずは有料制(つまり使う事への罰金)と禁止法で根絶するぞぉ」なんて切り取り情報ばかりが目につく。

弊職の専門分野であるTHE GLOBAL GOALS(SDGs)も廃プラと海洋ごみ、それに太陽光発電と電気自動車が基軸のように語られる。17パネルのゴールと169のターゲットがあるにも関わらず…。インターネットで情報はたくさんあるのに玉石混淆で、受け手は千里眼はおろか、選択眼すら作動セズ…。大衆迎合政治が嘯く(うそぶく)メッセージを真に受けて、それが世界を救う第一手段のようステロタイプに「ゼロか?100か?」「プラスチックを使うの?使わないの?どっち!?それで地球の運命は決まるのヨ!!さぁどっち」の二社一択で判断の立体的思考を中断して、社会正義に参画したとの自己満足で何かの罪滅ぼしに溜飲を下げている。

果たして、我らがビジネスの素材・商材となるプラスチックは、そんなに悪玉なのか?

プラスチック(英語:plastic)の語源はギリシャ語の漆喰でカタチを作る…型に流し込んで圧力や熱を加えると型通りの形状で抜き取ることができる可塑性材料にたどり着く。先人の創出した便利なマテリアルであるそれは、19世紀終わりにセルロイドという商材で初めて商品化され、20世紀になってすぐにベークライト(商品化二番手)、そのあとは経済発展と文明浸透を謳歌し、三番手、ポリスチレン(1938商品化四番手)…あとはもう一気呵成に、種類や用途・機能と効果を広げに拡げた。樹脂種や鼻薬(比喩的表現です!要は機能性添加剤などの意味)が多岐に渡ったことは、便利さや特異さを探求した反面、処理再生の難題やナニもココまでしなくても、ナニもコレまで作らなくても、という揺り戻しの反動を生んだ。

まさに、いま現在がその揺り戻しに、何かを悪者にしたいヒステリー曲線のカーブが合致して最大級の逆回転“プラスチック忌避思考”が起こっているのかもしれない。私たちプラスチックに関わるビジネス・パーソンは、この21世紀にては適材適所と適所適材で、プラスチックの循環利用から始めて、ベストミックスな政策を誘導していかねばならぬ。先人の創出したそれを、悪者扱いされることなく、持続可能な人類への効能を探究していかねばならない。

もう一度、ギリシャ語の語源を調べてみるとプラスティコスには“成長する”、“新しい形を創る”、そして“発展する”という意味もあるらしい。まさに私たち21世紀の関係者は、“こちらの意味”でプラスチックを武器に世の中に利便をコストや負荷を上回る便益を提供していこうではないか。

「プラスチックを利活用する製品とサービスが、社会・環境・ステークホルダーに不具合や不利益を無闇に押し付けること無く、便益と損失のバランスを平易に解説して、消費者サイドの理解を越えて納得までを獲得すること」…そう、安全第一・SAFETY-FIRSTを刻んでいこう。

それが私たちの展望である。

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